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Thank You For Everything          ~100%のスマイルを求めて~

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コミュニケーションを伸ばすために

☆国際アスペルガー年記念セミナー☆
発達障害の人の支援の実際:コミュニケーションを伸ばすために

NPO法人アスペ・エルデの会/中京大学社会学部/子どものこころの発達研究センター
辻井正次
1.  発達障害のいろいろ-というか、人間はいろいろ
 たぶん、実際の姿とあわせると、「発達障害」は誤訳。
 特に意識しなくても自然に育つ子どもと、意識してその子どもなりの成長の仕方を教えてあげる必要のある子どもとの違い。特に広汎性発達障害において。
 広汎性発達障害:3大兆候---社会性の障害、コミュニケーションの障害、イマジネーションの障害。

2.  発達の道筋---環境条件と密接な関係を持つ
 他者との関係の発達の姿
 生活のスキルを教えることと、関係性をはぐくむことは相補関係
 発達早期であればあるほど、環境調整(「わかりやすい環境であること」)が必要

3.  問題を理解する枠組みをもつこと
 発達障害の問題は、重層構造で理解すること。ある1つの部分ばかりで理解しようとしないこと。単一の手法のみで改善することはない。もともとの問題に容易に付加的・二次的な問題が加わっていく。

4.  発達支援の原則
 支援のための関係を築くこと
 1つずつ必要なことをできるようにしていくこと
 周囲との関係を調整すること

5.  コミュニケーションって何か?
 考えてみてください。他者とコミュニケーションを交わすとは?
 翻訳者の重要性

6.  ことばの発達の道筋
 ことばの発達-ことばとは文化との出会いであり他者との出会い
 音の模倣だけではことばは成立しない

7.  共有するもののなかに私たちがいること
 他者の注意・意図を汲めること。他者の注意・意図を共有すること。
 自然にできる多数派に対して、少数派である発達障害の子どもは注意の共有や、意図の共有が自然にはできにくい。

8.  会話を始めて続けること
 知らない人と、どう会話しますか?
 自分の好きなことばかりでは会話になりません。相手の興味のあること。

9.  相手にもわかることばで伝えること-難解すぎないことも含む
 オタク会話って微妙な感じですよね。
 相手の理解度を推測しながら会話を微調整すること。

10. 相手の意図を汲むこと
 相手がどう考えるかわかるから会話は続いていく。
 自然にわからなくても、役割のなかである程度は把握できること。

11. 非言語な表現を理解すること
 目は口ほどにものを言う
 非言語な表現は、場の中での微調整が多いので、使用することも理解することも難しい。

12. 場や状況を理解すること
 自分と他者との二者関係は実は多くはなく、集団の状況や、文化的な状況で構成されている。ただ、再構成のルール自体はそんなに理解不能ではないので、学習は可能。

13. 世界の共有をごっこ遊びや物まね遊びで展開できること
 他者とのやりとりの中で遊びを展開していくには多くの微調整が必要なので、自然にできる人はいいが、そうでないと難しいこと。

14. 発音の問題
 構音、イントネーションなど、難しい子どもが多いこと。

15. 話し言葉と書き言葉、そしてマーク
 話し言葉よりも書き言葉の方がわかりやすい子どもも多い。
 意思疎通するのが目的なので、相互に理解し合えるツールを活用すること。

16. 文章を書くこと
 作文やまとめの苦手な子どもも多い。自然にはできなくても、「やり方」を教えていくことでうまくやれるようになっていく。

17. 実は、周囲が理解していればコミュニケーションの障害って、そんなに大きな問題ってわけでもないこと。
 ただ、周囲の理解だけで、本人のスキルをつけていかないと、自分で対処する力はつかない。さまざまなスキルをもとに、どの場面でどういうスキルを用いるか、どういう選択をすることが自分らしいか。

18. 必要な支援の枠組みが重層的であるので、いろいろなネットワークが必要なこと
 公的な支援でできることできないこと(公的な支援の「コスト」の問題)。
 社会のなかでの障害理解を創造することのためには多くの努力が必要。


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